和歌山・就労支援施設の2女性 自分らしく夢アート

読売新聞2013年8月13日掲載

24日から初の作品展「新たな表現生みたい」

和歌山市三沢町の障害者就労支援施設「むぎピース ひらく」に併設されている「アート工房」で、創作活動に取り組む女性2人が24日から、同市内で初の作品展を開く。夢を持って生き生きと過ごしている姿を多くの人に知ってもらおうと準備を進めている。(落合宏美)
2人は、統合失調症などの障害のある北山佳子さん(41)(和歌山市)と島津真美さん(25)(同)。今年4月に開設された「アート工房」で、「むぎピース ひらく」の食品加工部門で生産されているシフォンケーキのパッケージのロゴやイラストを手がけるなどしている。
「むぎピース ひらく」ではこれまで、焼菓子やそうざいを製造、販売してきた。自由な発想で描く独創的な絵画など芸術分野が得意な障害者が多いにもかかわらず、県内では、芸術活動に専念できる就労支援施設は少ないのが現状。施設を運営する社会福祉法人一麦会は、創作活動に専念でき、将来の仕事にもつなげられる「アート工房」を開くことにした。
北山さんも島津さんも、幼い頃から絵を描くのが得意だったという。2人とも以前は企業や別の就労支援施設に勤める事もあったが、得意分野を生かせる場所が見つからず、自宅で過ごすことが多かった。しかし、工房に通い始めてからは、生活や体調にも変化があらわれ、夢も広がったという。
作品展では、北山さんは、花火の美しさから発想を得たパステル画、島津さんは、日常の風景から感じたことなどを抽象的に表現したパステル画や水彩画などを出展する予定。現在は共同作品にも取り組んでおり、当日は計約30点が並ぶ予定という。
北山さんは、自分の色彩感覚を生かしてスカーフなどをデザインする目標ができた。「ありのままの自分を認めてくれ、作品を見てくれる人がいると頑張れる」と話す。島津さんは、絵とともに朗読など声を使った表現活動に挑戦するつもりだ。「表現活動を生かせる場所と出会えてうれしい。頑張って、新しい表現を生み出したい」と笑顔で話す。
むぎピースの江上直子代表は、「自分なりの世界を広げ、追求してほしい。二人の活動が多くの人に受け入れられるとうれしい」と話す。
「ふたり展」は、24~30日午前10時から午後4時、同市美園町の「アートサポートセンター RAKU」で開かれる。無料。問い合わせは同センター(073・427・3313)。