農園で多世代交流

わかやま新報2013年12月4日掲載

粉河拠点に「小麦ちゃん」発足 地域活性化、エネ自給へ

農園づくりを通して子どもから高齢者まで幅広い世代の交流を目指す「紀の川福祉コミュニティ農園」(通称・小麦ちゃん、田中秀樹代表)が今月、紀の川市で発足した。粉河の古民家「山崎邸」を拠点に、月2回程度、農業や健康について学べる「寺子屋」を開いていく他、来春から本格的に地域の「ふれあい農園」で作物栽培に着手。地域活性化へ、農園を活用した体験イベントや交流会を展開していく。
食▽農▽景観▽歴史▽暮らし▽活動―など、地域のさまざまな資源を活用し、農業を通じて仲間と集える居場所を提供。障害者や引きこもりの人たちも、共に楽しく活動できる環境づくりに取り組む。
1日、発足に当たり「開園フォーラム」が山崎邸で開かれ、約80人が参加。地元の歌手・宮本静さんの歌で華やかに幕を開け、近畿大学生物理工学部の鈴木高広教授が「育てよう 農のあるくらしづくり」をテーマに基調講演した。
鈴木教授は、研究中の「芋エネルギー」について解説。サツマイモをメタン発酵させ、ガス発電へとつなげるもので、全国で栽培可能▽痩せた土地で育つ▽多層栽培できる▽弱い分散光で育つ――などの利点を紹介した。そして具体的な数値を交えながら、安価にイモの大量生産が可能になれば日本で必要な年間エネルギーをまかなうことも不可能ではないと、明るい話題を提供した。
ふれあい農園でも実際に芋エネルギーの生産に挑戦していくという。野中康寛事務局次長(40)は「ここでいろんな人が交流し、生きがいを持った生き方ができるような活動ができれば。農作物だけでなく、エネルギーの自給にも取り組んでいきたい」と意気込んでいる。